2006年06月11日更新)


12. 湯破隊風雲録(新潟&長野の温泉編)


湯破隊員の朝は相変わらず早い。午前2時には出発だ。柳澤隊長が自らハンドルを握る湯破専用リムジンの後部座席でうとうとしている間に、何と例の場所にいるではないか。今回はアブラ臭の温泉を辿るらしい。

湯破隊「新潟&長野の温泉」を行く(2000年10月)

1.新潟県の温泉

西方の湯温泉「西方の湯」

うーん、またしても「西方の湯」に来てしまった。私は今年これで3度目だ。私の少ない温泉巡りの頻度からすると異常なペースだ。当たり前だが、あの臭いは今回も健在だ。7月に来た時より更にパワーアップしているようだ。ひょっとすると寒くなればなるほど臭いが強烈になるのか!?

西方の湯ですっかり臭くなった我々は、異臭を放ちつつ次の訪問地へ向かった。
次はしつこく月岡温泉だ。

月岡温泉「広瀬館」大人:800円
泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性低張性温泉)
泉温:50度C 成分総計 2,312mg/kg HS 82.1
色:薄黄緑透明 臭い:硫黄臭 味:薄硫黄味

月岡温泉では中規模ながら奇麗な感じのする旅館。月岡第一源泉のすぐ近くにあるので、少し期待してアタックした。お風呂は内湯×1で8〜9人が入れる広さ。浴室中に強くはないものの硫黄臭がこもっている。お湯は月岡らしい肌触りの良いものでぬめり感もあり、心地が良い。湯温がややぬるめになっているため長湯できる。少々加水されているような感じもするが、月岡のお湯の良さは十分に味わうことができる。ハズレでなくて一同安心。( 2000/10/21/AM11:30)

西方の湯の臭いVS月岡の臭いは残念ながら、西方の湯の勝ちで我々は依然として異臭を放ったままの集団であった。硫黄臭にまみれようと念願の青木館にアタックしたが、またしても玉砕。私はこれで4回目の玉砕だ。悔しいぞ!

新津温泉「新津温泉」

約1年ぶりに来たが、相変わらず賑わっていた。鼻につんと来る正統派アブラ臭が嬉しい。アブラ臭好きには堪らない温泉だ。やはりアブラ臭番付東の正横綱か。

ここですっかり西方の湯の異臭から開放され、今度はアブラ臭プンプンの集団となる。

千手温泉「千手温泉」

湯破隊のメムバーは何故か、千手温泉は初めてだという。元幼稚園の建物に一同感心する。入り口にあった屋台村が跡形もなくなっていたのは残念。お湯は相変わらずの高温掛け流しで心地よい。建物周辺の土地が整地されつつあり、大規模センター系に生まれ変わる気配があるが、できればこのままであって欲しいものだ。

新津で付いたアブラ臭がここで消えてしまった。
昨年、我々を完全にノックアウトした松之山温泉に向かった。勿論リベンジするためである。

松之山兎口の湯「露天風呂・翠の湯」大人:300円 AM8:00-PM8:00
源泉名:松之山温泉兎口1号井
泉質:ナトリウム・カルシウム塩化物泉
泉温:69度C 成分総計 14,589mg/kg
色:赤褐色 臭い:アブラ臭(薄コールタール臭)味:塩味

植木屋すぐ近くにある町営の露天風呂。源泉が枯れてしまい暫らく休業していたが、無事復活したようだ。お風呂は簡単な屋根がついたもので、5〜6人が入れる木製の浴槽が一つ。お湯は赤褐色系のもので植木屋のお湯の色に似ている。しかし、お湯の感じは別物でアブラ臭+コールタール臭がし凌雲閣のお湯に近い感じだ。どうやら現在のお湯は新源泉のようだ。やや熱めのお湯に浸かっていると、じーんと効いてくる。さすが松之山だけありなかなか良い湯だ。植木屋のお湯と凌雲閣のお湯をちょうど足したような印象が残った。( 2000/10/21/PM5:30)

松之山鏡の湯「凌雲閣」(宿泊)

さて今回は宿敵「凌雲閣」に宿泊し思う存分リベンジするつもりだ。しかも、全国のアブラ臭に関心のある温泉好きが集まり激論を戦わすらしい。
何でも以下のテーマが準備されているとのことだ。

「間違いだらけのアブラ臭の嗅ぎ方」
「全国アブラ臭番付の編成」
「アブラ臭占い」
「アブラ臭と恋愛について」
「IT革命とアブラ臭」等々

そのメンバーとは、Y@山梨さん、W@神戸さん、S@東京さん、T@山梨さん、Y@鳴子温泉さん、U@東京さん、柳澤隊長、赤塚隊員、あらき隊員であった。

まずは、前回ノックアウトされた大浴場の湯に浸かってみた。浴室に充満するアブラ臭は相変わらずだ。しかし湯がぬるい!湯の注ぎ口の直ぐ近くに行ってもあまり熱くない。うーん、これはちょっといただけない。あの力強い湯の感覚は残念ながらなかった。特に冬場は湯の湧出量が減ってしまうため、源泉投入量が少なくなってしまうためのようだ。露天も造る計画はあるとのことだが、その場合は循環になるでしょうねとは宿の人の話。そんな計画は是非とも止めて欲しいものだ。

大浴場が物足りなかったため家族風呂で源泉を大量投入して、「凌雲閣」本来のお湯を楽しむことにした。3人程度が入れる家族風呂は宿泊客が多い時のみ、開放しているようだ。目論見通り、源泉を掛け流し状態にして入るお湯は格別のものがある。やはり、こうでなければ。ただ家族風呂狙いの宿泊客が多数いたのでなかなか空いていなったのが難点ではあった。

さて、肝心のアブラ臭の討論会であるが食事を終えると同時に、議長役の柳澤隊長が爆睡状態に入ってしまい、ふつうの温泉話で盛り上がってしまった。(笑)


朝から「凌雲閣」の家族湯で高温・掛け流し状態のお湯に満足した我々は、前の晩に空振りをした「つなん荘」に向かった。前日に9時半過ぎなら入浴OKの許可をもらっていたのだ。

小下里温泉「つなん荘」大人:300円 夕方(要確認)
(分析表掲示無)
泉質:単純泉?
色:琥珀色透明 臭い:微モール臭? 味:微妙な味

かなり鄙びた温泉旅館。ちょっと分かりにくい場所にある。お風呂は内湯×1。7〜8人が入れる広さの半円形の浴槽に、壊れたライオンの口から勢いよくお湯が出ている。(ちなみに女湯はリスの口)お湯は加熱のようだが、掛け流しになっている。これは立派。お湯は琥珀色透明で肌触りが滑らかでぬるつる感がある。かすかに臭いがするがモール臭と言い切れる自信はない。すこぶる入り心地の良い湯だ。浴室の雰囲気も素朴でなかなか素敵なものがある。(2000/10/22/AM9:50)

時間に余裕があったので「つなん荘」の近くの田中温泉にも寄ってみた。

田中温泉「しなの荘」大人:400円 AM7:30-PM9:30
源泉名:田中温泉
泉質:アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性低温泉)
泉温:32度C pH 9.5 成分総計 150mg/kg
色:薄琥珀色透明 臭い:微微硫黄臭 味:微微硫黄味

この一帯にしては、なかなか小奇麗な外観の温泉旅館。お風呂は内湯×1と露天×1。内湯は12〜3人が入れる広さで、薄く琥珀色をしたお湯が張られている。お湯はぬめり感があり少しぬるぬるする。赤茶色の小さな湯花も舞っている。特別に特色のあるお湯ではないが、入り心地は悪くはない。湯の注ぎ口でのみ微量の硫黄臭を感知できたが、気のせいかもしれない。露天は3人ぐらいが入れる小さなもの。露天のお湯は湯花も多く内湯より濃い感じもするが、源泉投入量が少ないので劣化しているだけかもしれない。( 2000/10/22/AM10:30)

2.長野県の温泉


道の駅でキノコをお土産に買った後長野方面へ向かうが、ここまで来て「百合居温泉」を通り過ぎることはできない。

百合居温泉「百合居温泉」

ここも一年ぶりの再訪。相変わらずいい雰囲気だ。臭素臭は健在で素晴らしい。しかし、前回よりはお湯がぬるめになっていたせいかちょっとパンチ不足でもあった。お湯の注ぎ口にネットがあり、湯花が浴槽に入り込まないようになっていた。そのせいか気持ち薄く感じてしまったが、文句なしに良い湯だ。

久々に湯破隊の4人が揃ったので、松代温泉を湯破してみることで皆の意見が一致した。まずはハズレ覚悟で一番立派な施設から始めることにした。

松代温泉「国民宿舎松代荘」大人:500円 AM10:00-PM4:00
源泉名:新3号源泉
泉質:含鉄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性中性高温泉)
泉温:46.4度C pH 6.51 成分総計 15,624mg/kg(Fe:26.7 Ca:1,153)
色:黄褐色濁 臭い:薄金気臭 味:塩味+苦味

立派にリニューアルされた国民宿舎。お風呂は内湯×1と露天×1。内湯は20人が入れる広さで、露天は10人ぐらいが入れる広さ。浴室も奇麗にリニューアルされているが、浴室内に一歩踏み入れて驚いてしまう。新しく造られた浴室浴槽内のそこいら中に黄褐色のお湯の成分がついている。広い浴槽には黄褐色のお湯が溢れている。浴槽の縁も湯の成分が堆積しており、次第にオブジェを形成しつつある。お湯は入浴感があり納得のいくものだ。露天も湯の成分が至る所に付着している。やや内湯より濃い感じがする。それにしても、これだけ立派な施設でこれだけのお湯を楽しめるとは意外と言えば意外だ。今度は宿泊してみたい。( 2000/10/22/PM2:00)

松代温泉「母子休養ホーム海津荘」大人:300円(署名必要)
源泉名:松代新3号源泉
泉質:ナトリウム-塩化物泉(中性高張性高温泉)
泉温:45.8度C 成分総計 15,798mg/kg(H2S 460.7)
色:薄黄褐色濁 臭い:薄金気臭 味:塩味+薄苦味

長野県母子保養ホーム内にある温泉。一般者の入浴は不可かと思われたが、入浴のみも宿泊もOKのようだ。お風呂は内湯×1で、4人が限界の広さ。浴室のすぐ外で源泉が湧出しており、ゴボゴボという音が聞こえる。お湯は松代荘より薄い黄褐色濁で、肌触りも比較的あっさりした感じだ。ただ湯温が熱めなので、入浴感は十分に感じられ少々湯疲れする。狭い浴槽に源泉直の湯を味わうことができ、満足できる一湯だ。湯上がり後、源泉湧出場所をチェックしたところ、間違いなく炭酸臭に混じって硫黄臭も感じ取れたが分析表の数字が正しいかは疑問が残った。( 2000/10/22/PM2:30)

松代温泉「寿楽苑」大人:300円 AM9:00-PM9:00
(分析表掲示無)
色:黄褐色濁 臭い:薄金気臭 味:塩味+薄苦味

一陽館のすぐ近くにある旅館。お風呂は内湯×2。一つは白湯で上がり湯となっている。温泉の張られた浴槽は白湯のある浴室の奥にある。屋根がチープな造りの簡易的な浴室で露天のような感じがする。お風呂は12〜3人が入れる広さ。ここも黄褐色の湯の成分がびっしり浴槽・浴室内に堆積している。お湯はかなりぬるめで、つい長湯になる。一旦浸かるとなかなか出ることはできない。色は目にも鮮やかな黄褐色で見事な色合いだ。少しとろみを帯びたぬるい湯に首までとっぷり浸かっていると、時間のたつのも忘れてしまう。文庫本を読みながら浸かっている人さえいた。鄙びバラック風湯小屋でゆったり湯に浸かっていると、つくづく温泉好きで良かったなあと思うのであった。( 2000/10/22/PM3:00)


松代温泉「松代温泉公民館」大人:200円 PM3:00-8:30
源泉名:新3号源泉
泉質:含鉄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性中性高温泉)
泉温:46.4度C pH 6.51 成分総計 15,624mg/kg(Fe:26.7 Ca:1,153)
色:黄褐色濁 臭い:薄金気臭 味:塩味+苦味

松代温泉にある共同浴場。源泉は松代荘からの引き湯のようだ。お風呂は内湯×1で7〜8人が入れる広さ。浴室に入って驚く。浴槽の縁が湯の成分でゴツゴツと覆われ何とも言えない状態となっている。元の浴槽の2倍ぐらいに成長したのではないかと思われるほど堆積している。お湯は黄褐色濁で松代荘と同じような感じだが、浴槽が狭い分濃い感じもする。なかなか雰囲気のある浴室・浴槽で大変気に入った。今まであまり話題にならなかったのが何とも不思議だ。(2000/10/22/PM3:00)


加賀井温泉「一陽館」

はじめてきた時ほどのインパクトはないが、全体の雰囲気はやはりなかなかのものだ。勢いよく源泉が湧き出しており、お湯の鮮度では「海津荘」といい勝負だ。

今回は松代温泉を5ヶ所湯破したが、1ヶ所だけNGであった。「老人福祉センター」にも温泉が引かれているようだが、老人でないと入れなかった。この一帯は今まで「一陽館」のみが話題になることが多かったが、どこの温泉施設も源泉に細工することなく生のままお湯を使っているのに感心させられた。

さすがに松代温泉を5ヶ所も湯破すると皮膚がかさかさして、石灰分のモビルスーツを着込んだような感じに囚われた我々は、仕上げの湯として「千古温泉」に向かった。

千古温泉「千古温泉」

久しぶりの千古温泉。今回で4回目の訪問だが、私はここの硫黄臭が大好きだ。7時過ぎに行ったが混んでおり暫らく待つことにした。よく見ると、あちこちリニューアルされている。浴室も実はリニューアルされており、大幅ではないが浴槽も少し手を入れられているようだ。肝心のお湯だが、やや硫黄臭が弱くなってしまった。浴室に硫黄臭はこもっておらず、お湯からほんのり香る程度だ。循環濾過仕様にはなっていないようだが、若干薄めているような感じもした。ただ単にお湯の調子が悪いだけかもしれないことを祈ろう。

湯上がり後、若い美人女将と話をする機会を得たが温泉メーリングリストにかなりの関心を抱いているようであった。

千古温泉の美人女将と話ができて舞い上がってしまった我々は気分よく帰路に就くのであった。しかし、身体中から立ちこめる八代温泉VS千古温泉の臭いの戦いは残念ながら八代温泉の金気臭の圧勝であった。

(おしまい)

千古温泉・美人女将ファンクラブ会員#1


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