2006年06月03日更新)


9. 湯破隊風雲録(浅間温泉編)


本年最後の指令が隊長より下り、長野県・浅間温泉の湯破に向かった。浅間温泉は集中管理源泉の上、単純泉続きなのでいよいよ「湯破(トウハ)の悲劇」が起きるのではないかと危惧されたが・・・・。

湯破隊「浅間温泉」を行く(1999年12月)

1.浅間温泉

今回のテーマは浅間温泉湯破という難題だ。単純泉の微妙な違いを見分けなくてはならない。浅間温泉には2つの大きな源泉があり、その源泉の周辺の旅館・共同湯に狙いを絞って攻めることにした。浅間温泉には地元民専用の共同浴場がたくさんあることが判明している。幸運にもその一つぐらいに入れないものかというのも、今回の狙いであった。取りあえず「枇杷の湯」のレベルを浅間温泉の基準にすることにし、ここを集合場所とした。10時過ぎに各隊員が三々五々集まり、いよいよ浅間湯破の開始だ。

「湯々庵・枇杷の湯」 大人:800円 AM9:00-PM9:00
源泉名:浅間温泉共同源泉
泉質:アルカリ性単純泉(アルカリ性低張性温泉)
泉温:49.1度C pH 8.8 成分総計 431.2mg/kg
色:無色透明 臭い:微硫黄臭 味:微硫黄味 

大変門構えが立派な日帰り専門の入浴施設。旅館時代はさぞかし立派であったと思われる。お風呂は内湯×1と露天×2。内湯は新しく改装されており趣はまったくない。時間に余裕があったこともありシャンプーしてしまった。循環湯+源泉で、源泉もちょろちょろ注がれている。お湯はぬるめで少しの硫黄臭と少しのぬめり感が残る。内湯から続く屋外にある桧風呂はなかなか見事な造りで、茶色の小さな湯花も発見できた。本館から少し離れた所に露天風呂があり、ここに注いでいる源泉の硫黄臭は内湯より強めであるように感じた。総合評価としては「ホットプラザ」よりはずっと良いが、まずまずといったところか。
(1999/12/11/AM9:00)

この後、住宅地図を頼りに共同浴場・源泉の確認を行うべく浅間温泉街の探索を開始した。人通りのまばらな街中を、異様にぎらぎらした目つきで歩きまわる見るからに怪しげな4人組であった。

以前よりその佇まいがとても気になっていた、独自源泉を持つものの入浴のみ不可の「目之湯」に果敢にアタックすることにする。しかし、玄関が閉じられており人のいる気配はなかった。営業を止めてしまったのか?湯破早々に不戦敗であった。

「第一源泉」と「東北源泉」の湧出場所を確認した。特に「第一源泉」のすぐ隣に共同浴場があり、その共同浴場の裏手にあるバルブを緩めると源泉が出てくる。やや強めの硫黄臭がし、さわった感触もすばらしいものがある。おそらくこの共同浴場の湯が浅間温泉でNO.1の湯ではないかと推測される。一般に開放されていないのが残念だ。

「北大湯旅館」大人:500円
(分析表は枇杷の湯と同じ)
色:無色透明 臭い:薄硫黄臭 味:微硫黄味 ケロリン桶

第一源泉の隣、共同浴場の表側にあるかなり鄙びた温泉旅館。源泉から一番近い旅館だ。暗い廊下の奥に浴室がある。お風呂は内湯×1。6人ぐらいが入れる広さ。ぬるめの無色透明の湯が溢れており、硫黄臭は源泉湧出地よりは弱いが、浅間温泉の旅館のお湯としてはかなり強い方だ。お湯は滑らかな肌触りで、さらりとしたものだが入浴感はかなりよく、一旦浸かるとなかなか抜け出られない。茶褐色の3cmぐらいに成長した昆布状の湯の花が舞っており、思わずなでまわしてしまった。他に白い湯の花もある。源泉を知ってしまったので少々物足りなく感じてしまうが、浅間温泉を代表する旅館の湯と言ってもいいと思う。(1999/12/11/AM11:00)

「倉下の湯」 大人:180円 AM7:00-PM8:00
(分析表は枇杷の湯と同じ)
色:無色透明 臭い:微硫黄臭 味:微硫黄味+微甘味

入浴不可と思われていた共同浴場だ。宣伝はしていないが外来者も入浴OKのようだ。共同浴場としてはかなり規模は大きく、昔旅館であったような佇まいで休憩もできる。お風呂は内湯×1。3人が限界の広さだ。お湯はやや熱めで、さらりとした肌触。硫黄臭は弱く、茶褐色の小さな湯花も見受けられる。凄く良いというわけではないが、浅間温泉探索には欠かせない一湯とは言えると思う。飲泉するととてもうまい。(1999/12/11/PM0:30) 

「椿の湯」 2000円(食事+ビール代込み)
(分析表は枇杷の湯と同じ)
色:無色透明 臭い:微硫黄臭 味:微硫黄味

何と湯破隊始まって以来の食事付き入浴というのを体験した。お風呂は内湯×1。4人も入ればいっぱいになる青い色の浴槽だ。かすかに硫黄臭の香るお湯が掛け流しになっている。湯量は多い方だ。お湯は気持ちぬめり感のあるものの、さっぱりとした感触で少し熱め。浅間温泉では平均よりは上と思われるが、特別良いというほどでもない。食事はアポ無で訪れたにもかかわらず、満足のいくものが出た。(1999/12/11/PM1:00)

温泉街を歩いていると、かなり鄙びた旅館が多いのが目につく。特に源泉に近い山側はそれが顕著に表れている。営業しているのか廃業したのか分からないものもいくつか見かけた。鄙び具合が圧巻の「松の湯?」に入浴をアタックするも簡単に拒否されてしまった。鄙びた雰囲気抜群の「御殿之湯?」にも入浴を懇願するものの不可であった。今回は学生には見えなかったはずなのだが・・。

そうこうしているうちに大変な幸運に巡り合うことができた。

「北せんきの湯」 大人:200円 PM1:00-PM9:30
(分析表は枇杷の湯と同じ)
色:無色透明 臭い:薄硫黄臭 味:微硫黄味 ケロリン桶

正直言って、ここに入浴できるとは思わなかった。正に湯破隊の面目躍如たるものがある。(自画自賛)まず、住宅地図でもない限りこの共同浴場の存在や場所はわからない。しかも入浴料は狭い入り口の向かいにある一般の民家で払うシステムとなっている。共同浴場は鄙びてもいず、リニューアル済みと思われるが、雰囲気はとても良いものがある。お風呂は内湯×1。木造の浴槽で3人が限界の広さ。浴槽が黒っぽいので色付きのお湯に見えるが無色透明だ。湯が気持ちがいいほど掛け流しになっている。お湯は熱く入浴感は十分ある。白い大きめの湯花も華麗に舞っており、浴感はすばらしいものだ。浸かっているほどに湯の良さが肌に伝わってくる。少しのぬめり感もあり、思わず「おー」と声が漏れてしまう。今回の浅間温泉の中では間違いなくベストの湯である。( 1999/12/11/PM2:00)

「飯田屋別館」 大人:600円
(分析表は枇杷の湯と同じ)
色:無色透明 臭い:薄硫黄臭 味:薄硫黄味+甘味

結構鄙びた雰囲気の旅館。木造で3〜4階建のようだ。かなり規模は大きいような印象を受けた。お風呂は内湯×1。建物の割にはこじんまりした浴槽で3人が入れる広さ。タイル張りの小奇麗な浴槽からお湯が溢れている。お湯はややぬるめながら、まずまずの肌触りだ。湯口から注ぐ源泉の硫黄臭はややあるものの、浴槽の湯はそれほどでもない。お湯を大事に使っているのは間違いなく、浅間温泉の湯では平均よりはずっと上のお湯と思われる。( 1999/12/11/PM2:40)

この後、独自源泉を持つという「鷹の湯」を探したが巨大で異様な雰囲気を持つ別の旅館に変身していた。残念、来るのが遅すぎたようだ。これで浅間温泉湯破は完了し、すぐ近くの美ヶ原温泉の共同浴場で湯破の疲れを癒すことにした。

2.美ヶ原温泉

美ヶ原温泉「白糸浴場」 大人:240円
源泉名:第5源泉(松本市大字里山字湯原453の3)
泉質:アルカリ性単純泉(アルカリ性低張性温泉)
泉温:41.3度C pH 8.8 成分総計 406.0mg/kg 296リットル/分 ケロリン桶多数
色:無色透明 臭い:無臭 味:美味(舌に残る味あり) ケロリン桶多数

美ヶ原温泉にある共同浴場。お風呂は内湯×2。青いタイル張りの浴槽が2つに仕切られており、それぞれが3人と4人が入れる広さになっている。お湯は適温で注がれており、肌触りの滑らかな感じのするやわらかい湯だ。臭いはほとんどなく、飲泉するととても美味い。日常的に毎日入るなら、このような湯が良いのかもしれない。湯の注ぎ口からお湯を汲んで帰る人が大勢いた。湯上がり後のお肌のつるつる感はなかなかのものがある。また、美ヶ原温泉街に軒をならべる木造の旅館の佇まいや雰囲気がとてもすばらしく、思わず見とれてしまった。(1999/12/11/PM4:00)

(おしまい)


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