2006年05月21日更新)


8. 湯破隊風雲録(月岡&松之山温泉編)


「月岡&松之山」湯破隊の一員として参加させていただき大変楽しい温泉巡りをすることができたので、ここに報告することにする。既にあらき隊員の詳細なレポートが既に出ているので(掲載せず)、何をいまさらなのだが一応記録にに残しておくというだけの目的で遅まきながらレポートしておくことにする。湯破隊の宿命としてハズレに当たる確率が通常の温泉巡りより高い。ハズレに当たっときはこれを専門用語で「湯破(トウハ)の悲劇」と呼ぶ。

湯破隊「月岡&松之山」を行く(1999年9月)

湯破隊員の朝は早い。神奈川○○市の自宅を午前2時半に出て、東京都××区にある柳澤隊長の住む湯破隊本部へ向かう。さすが本部だけあり贅を極めたコンドミニアムだ。ゴージャスな車が並んでいる駐車場に私の貧相な車を置かせていただき、いざ隊長が自らハンドルを握る温泉湯破専用リムジンで、月岡温泉へと向かう。途中△△であらき隊員を◇◇で赤塚隊員をピックアップし、全員集合だ。

1.月岡温泉

歓楽温泉というレッテルが貼られ、温泉ファンに無視されてきた感のある月岡温泉。しかし、温泉そのものの素性はなかなかのものがある。もともと源泉は協同組合が一元管理しており、組合員に平等に配湯されている。大ホテルも小旅館も同じ量のお湯をもらっているらしい。従って今回は大旅館は無視し小旅館に的を絞り湯破することにした。

まずは月岡温泉の基準を決めるため共同浴場の「ほうづきの里」へと向かう。ここは以前私が、黒い湯花がうようよあるとレポートし物議を醸し出した所だ。

「ほうづきの里」大人:600円 小人:300円 AM9:00-PM7:00 
泉質 :含硫黄-ナトリウム塩化物・硫酸塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉) 
泉温 :50.0度C pH . 成分総計 3,518mg/kg 
色 :緑色透明 臭い :硫黄臭+薄アブラ臭 味 :硫黄味 HS:88.4 

黒い湯花は健在であった。以前、訪れた時ほどはないものの岩風呂にあった。硫黄臭が少し弱くなったような感じもするが、アブラ臭も混じっておりこの手の施設の湯としては十分満足のいく湯だと思う。岩風呂には最大2cmほどに成長した黒い湯の花があり、妙に嬉しかった。隊員一同満足したようであった。ここの職員に月岡温泉で循環も濾過もしていない旅館があるか聞いてみるが、そんなのあるわけがないという冷たい返事が返ってきた。(1999/09/18/AM9:30)

「さかえ館」 大人:300円
色:黄色味透明 臭い:硫黄臭 味:硫黄味+苦味

さほど鄙びてはいない湯治専門の温泉旅館だ。情報通の隊長の選んだ旅館がここだ。お風呂は内湯×1と家族風呂×1。何とお湯が掛け流しになっているではないか。一同の顔がほころぶ。硫黄臭は少な目ながら、とても肌になじみつるつるする湯だ。一同黙々と湯に浸かり続ける。多くはないが黒と白の湯花もある。さすが隊長、いいところを知っていると感心した。(1999/09/18/AM10:00)

「熊堂屋」 大人:600円
泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性低張性温泉)
泉温:50度C 成分総計 2,312mg/kg HS 82.1
色:無色透明 臭い:弱硫黄臭+アブラ臭 味:薄アブラ味

源泉の道路を挟んで向かい側にある湯治専門の旅館。外観は月岡温泉で一番の鄙び具合だ。お風呂は混浴(多分?)で浴室が2つある。アブラ臭がかなりあり、湯の表面にも薄く油が浮いている。お湯は無色透明でやや熱めのさっぱりした湯だ。他の月岡の湯と比べると一番あっさり感は強いようだ。但し、ここの女将さんはお湯ほどあっさりはしていない。一人で旅館を切り盛りしているようだ。我々湯破隊がよほど気に入ったのか、暇だったのか、お茶の御代わり攻撃にあい3時間も四方山話を聞かされてしまった。(1999/09/18/AM11:00)

「浪花屋旅館」 大人:500円
分析表は「熊堂屋」と同じ 
色:緑色透明 臭い:硫黄臭+アブラ臭 味:硫黄臭+弱苦味

源泉の向かい「熊堂屋」の隣にある旅館。ここは前から気になっていたところだ。浴室は内湯×1。浴槽に緑色透明の湯が掛け流しになっている。アブラ臭と硫黄臭が合体した臭いが鼻に残り、一同にんまりする。湯は浴感も十分にあり、肌触りもとても滑らかで湯のよさを感じさせてくれる。何度も出たり入ったりを繰り返した。立ち昇る湯の臭いと肌触りの心地よさは何とも言えない。褐色と黒っぽい湯花もあった。今回の月岡湯破ではベストの湯か?(1999/09/18/AM11:30)

「青木館」(玉砕)
「熊堂屋」の向かい源泉の隣にある旅館だ。ガードが固く入浴を断られた。入浴を断る理由がアブラが浮いているだの黒く汚れているから駄目だの、ヨダレものの理由を言うので、隊長が粘りに粘って交渉するも駄目であった。悔しい!!ここの旅館は源泉が隣の上、ザル濾過なのでアブラ臭ぷんぷんの、多分黒い湯花もうようよした、すごいお湯なのではないかと推察された。

2.出湯温泉

月岡で思わぬ時間を食ってしまった湯破隊は出湯温泉へ向かった。

「華報寺公衆浴場」 大人:150円 小人:100円 AM6:00-PM7:00 
泉質 :単純泉? 
色 :無色透明 臭い :ほのかに甘い香り 味 :無味 

久しぶりの出湯温泉はやはり良かった。何の変哲もない湯であるが妙にほっとする湯だ。ぬるめでゆったり浸かれ、気泡もびっしりくっついてくれる。いつ行っても混んでいるのがたまに傷だ。(1999/09/18/PM2:00)

3.新津温泉

次は本MLでも評価の高い新津温泉へ向かった。

「新津温泉」 大人:300円 AM7:00-PM7:00
泉質:含重曹食塩泉
泉温:47度C 成分総計 13,709.7mg/kg 湧出量:19.8リットル/分
色:微白濁透明 臭い:強アブラ臭 味:塩味+?

入り口がわかりにくいが、いきなり制服姿の女子高校生が出てきたので、ひょっとして新津温泉は女子高生の溜まり場か思ったが、中に行けばいくほどその気配はない。あたり前か。外観はボロい民家風だ。お風呂は内湯×1。何といっても浴室中に充満している石油臭というかアブラ臭が鼻につんときて嬉しくなる。鼻からアブラ臭、湯からは心地の良いぬめり感と肌触りで満足度はとても高いものがある。隊員一同何度も出たり入ったりを繰り返す。全国百万人のアブラ臭ファンにお勧めする。(1999/09/18/PM3:00)

4.キャンパス川口温泉

新津温泉に満足しきった湯破隊であるが、センター系ながらも評判の高いキャンパス川口温泉をめざすことにした。

「キャンパス川口」 大人:600円 AM10:00-PM8:00
源泉名:キャンパス川口
泉質:ナトリウム塩化物強塩泉(弱アルカリ性高張性高温泉)
泉温:55.4度C 成分総計 18,430mg/kg 臭素:64.6
色:ささ濁り/黄緑透明 臭い:薄臭素臭 味:塩味

驚くほど立派な公共の温泉施設だ。お風呂は2階にあり内湯×2。大浴槽はささ濁りの湯でまあまあ。展望風呂は黄緑透明の湯でぬめり感のあるなかなか良い湯だ。茶褐色の湯花もあり源泉が足されているようだ。新津温泉の後に立ち寄ってしまったのでちょっと印象が薄くなってしまった。(1999/09/18/PM4:30)

5.六日町温泉

今宵の宿泊先は六日町温泉だ。立ち寄りで入る分にはあまり印象に残らない温泉であるが独自源泉を持つ「湯元館」は果たしてどうか?

「湯元館」 宿泊
源泉名:六日町温泉C2号井
泉質:食塩泉(緩和性低張性高温泉)
泉温:59度C 成分総計 1,370.5mg/kg
色:無色透明 臭い:微硫黄臭 味:薄鉱物味

あまり鄙びてはいない旅館で、六日町温泉からはちょっと離れたところにある。お風呂は内湯×と露天×1。浴室へ向かう廊下で強くはないが微量な硫黄臭を感知できる。内湯は無色透明で、かすかに湯の注ぎ口付近で硫黄臭がする。露天は岩風呂で、白っぽい湯花がちらほら見受けられ、内湯よりは肌触りは良いものがある。全体としては、まあまあといったところで、濃からず薄からずの中庸の良さがある湯とは言える。(1999/09/18/PM6:30)

6.百合居温泉

MLでその存在を報告されて以来、とても気になっていた温泉だ。新津温泉とここは今回
の湯破でも万難を排しても立ち寄るということになっていた。朝の7時半に六日町を出て長野県の栄村を目指した。

「百合居温泉仮設共同浴場」 一人:100円 AM8:00-PM8:00
泉質:ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
泉温:49.8度C
色:黄色味濁 臭い:臭素臭 味:薄塩味+?

日曜日の9時ごろに着いたが、お客は我々のみであった。外観および浴室を見て一同感嘆の声をあげる。お湯は黄色っぽく濁った透明のお湯で掛け流しになっている。ぬめり感が結構ありつるつるする。薄褐色の大量の湯花も浴槽の底に沈殿している。お湯にとっぷりと顎まで浸かって湯に身体を任せていると満足感が押し寄せてくる。隊員一同満足感を顔に漂わせ、思い思い湯に浸かる。(1999/09/19/AM9:00)

7.松之山温泉

百合居温泉で朝から満足してしまった湯破隊であるが、いよいよ今回の目的である松之山温泉の湯破だ。おそらく松之山温泉の全旅館に入浴したことのある人は少ないはずで、全部入るぞ!という意気込みで松之山温泉に向かった。

「凌雲閣」 大人:400円 AM7:00-PM8:00
源泉名:鏡の湯
泉質:ナトリウム・カルシウム塩化物泉
泉温:98度C
色:薄緑色透明 臭い:アブラ臭+? 味:塩味+渋味+苦味

風格のある温泉旅館だ。お風呂は内湯が一つで、薄緑色透明の湯が掛け流しになってる。湯はやや熱めで、アブラ臭もする。濃厚な感触がしてじっくり浸かっていると湯の力強さに負け疲れてくる。何度も浸かるうちにヘロヘロになってしまった。しかし、隊長は平気な顔で浸かっており、さすが鳴子温泉を日帰りで行ってるだけのことはあるなと感心する。(1999/09/19/AM10:30)

松之山の最初の湯からガツンとしたものを感じ、とうてい身体が持たないので完全湯破はあきらめ、これはと思える旅館を当たることにした。

「和泉屋」 大人:500円 AM9:00-PM9:00
泉質:「ヨードブローム」硼酸並塩化土類含有食塩泉
成分総計 14,610mg/kg
色:薄白濁 臭い:アブラ臭+薄コールタール臭 味:塩味+苦味+アブラ味

松之山温泉でも最も古いとされる旅館の一つ。お風呂は内湯×1と混浴の露天×1。内湯は蝶蝶形をしていおり、薄白濁の熱めの湯が満ちている。やはり、ここも力強い感じの湯で長時間浸かっている事はなかなかできない。一同しばらくふうふう言いながら浴槽の縁に佇んでしまった。源泉はアブラ臭にコールタールを足したような臭いを感じた。露天は源泉を豊富に使用しているようだが、残念ながら多量に加水されていた。惜しい!それでも湯破隊一同大満足の湯であった。(1999/09/19/AM11:30)

「玉城屋旅館」 大人:300円 AM7:00-PM9:00
源泉名:松之山1号源泉&2号源泉・混合泉
(松之山1号源泉)
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性中性高温泉)
泉温:84度C pH 7.43 成分総計 15,819mg/kg 60リットル/分 臭素:25.7
(松之山2号源泉)
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)
泉温:92.4度C pH 7.76 成分総計 15,840mg/kg 93リットル/分 臭素:27.5
色:薄白濁 臭い:薄臭素臭 味:塩味+苦味

やや鄙びの旅館。6〜7人が入れる四角い浴槽に松之山としてはややおとなしい感じの湯が満ちていた。お湯はややぬるめで、ちょっと拍子抜け。臭いもあまり感じられない。湯花が少しあるものの、力自慢のお湯が特徴の松之山にしては力強さが感じられない。(1999/09/19/PM12:50)

「植木屋」 大人:500円 日帰り入浴は要相談
源泉名:兔口温泉
泉質:含硼酸・食塩泉(緩和性高張性温泉)
泉温:37度C pH 8.0 成分総計 15,803mg/kg 33リットル/分
色:薄茶褐色濁 臭い:臭素臭+微金気臭 味:塩味

浴室は見事な湯小屋で、見ただけで感激してしまった。浴槽を含めすべて木でできており年輪を感じさせるものがある。正方形の浴槽が2つ並んでおり、手前が源泉槽、奥が加熱槽となっている。松之山の熱めの強力な湯に浸かりつづけたせいか、久しぶりのぬるーい湯に浸かることができ正直ほっとした。お湯は松之山らしからぬ食塩泉で強烈な印象は残らない。しかし、ゆったり浸かっているとじわりとその良さが伝わってくる。宿泊して夜に薄ら明かりの元でゆったり浸かればどれほど素敵かと思った。(1999/09/19/PM14:00)

「ナステビュウ湯の山」 大人:700円 AM10:00-PM8:00
源泉名:湯坂温泉
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
泉温:95.7度C pH 7.53 成分総計 15,900mg/kg 220リットル/分 臭素:30.9
色:微白濁透明 臭い:薄アブラ臭 味:塩味

松之山の温泉街から少し離れたところにあるセンター系の入浴施設。シャンプーしたさに立ち寄った。お風呂は内湯×1と露天×1。露天の隣にトド・コーナーが併設されている。内湯は湯が掛け流しになっている。薄く白濁した透明のお湯で白い湯花もちらほら見受けられた。露天は源泉がチョロチョロ注がれており湯花も内湯より多くなっている。隣のトド・コーナーもよいアイデアだ。個人的には全体として高レベルな施設だと思った。(1999/09/19/PM14:40)


さすがに松之山温泉は凄い。軽く見ていたわけではないがその実力のほどを見せつけられたといったところだ。湯破隊としても再度挑戦のし甲斐のある温泉地だと思う。私は帰りの車の中で具合が悪くなり、翌日38度の熱を出して寝込んでしまった。温泉に入りつづけ風邪を治したことはあるが、逆に風邪を引いたのは初めての経験だ。まだまだ修行が足りないと思う今日このごろである。

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