03/02/02作成)


2.鳴子温泉に魅入られて(その1)


2回にわたり私が温泉にはまるきっかけとなった鳴子温泉について書いてみます。鳴子好きが高じて「熊谷温泉」なるHPも立ち上げてしまいましたが、ここでは個別のレポートでは書ききれなかった鳴子温泉への思い入れや感想を綴ってみたいと思います。


(1)幼児体験としての鳴子温泉

鳴子温泉をはじめて訪れたのはいつ頃のことだったのでしょうか?今思い返してみると、多分小学校の低学年の頃だったと思われます。小さな旅館で小判型の湯船、お湯は濁っていて多分アブラ臭か硫黄臭がしていたと思います。東鳴子温泉か川渡温泉辺りの湯治宿だったのではないでしょうか。熱くてあまりお湯に浸かれなかった記憶があります。子供のうちに温泉とはこういう個性のあるものだという強烈な体験をしてしまいました。その後無色透明・無味無臭の温泉に出会うと、これは”ホントの温泉なのかなあ?”と常に疑ってしまうようになってしまいました。初めて伊豆の温泉を訪れたときに、無色透明無味無臭の温泉の連続で驚いたことがあります。

そんなこんなで、ごく普通のサラリーマン生活をおくるようになり温泉とは縁遠い生活が続きました。宮城県の実家に帰省した折ひょんなことで物凄く久しぶりに鳴子温泉に浸かる機会があり、びっくりしてしまいました。すっかり関東の無色透明・無味無臭のお湯に慣れてしまっていたのですが、鳴子の温泉に浸かってみて色・臭い・肌触りといった温泉本来の持つ素晴らしさを思い出してしまったからです。”ごくごく一般的な温泉好き”が”ちょっとした温泉好き”に変貌してしまった瞬間です。これが大体10年ぐらい前のことです。

(2)中山平温泉

鳴子の温泉群を度々病的なまでに訪れるようになったのは、実は中山平温泉との出会いがきっかけです。初期の頃は鳴子温泉の有名な「滝の湯」などで満足していました。ある時、ちょっと足を伸ばして中山平温泉までいって旅館のお風呂を借りて驚いてしまいました。お湯に浸かった瞬間皮膚がぬるぬるし、身体中が”にゅるにゅる”状態になってしまったのです。こんなぬるぬるした温泉の体験は初めてでホント驚いてしまいました。しかもとっても気持ちがいい肌触りなので、たちまち病み付きになってしまいました。温泉といえば基本的に硫黄泉ベースのストロング・スタイルのものばかりを好んで入っていましたので、このぬるぬるの浴感はとても新鮮な感覚で感動モノでした。今でもぬるぬる系の温泉には目が無く、どこぞにかなりぬるぬるする温泉があると聞けば、飛んでいくようにしています。ただ最近は循環のし過ぎによるぬるぬる温泉が多くなってきていますので、注意が必要ですね。

中山平温泉は鳴子の温泉群の中でも特に高温のお湯が湧出しており、源泉温度が100度Cなどというのもあります。この高温の源泉をできるだけ加水せずに冷まして浴槽に満たすわけですが、この温度の管理がなかなか難しいのです。あの素晴らしいぬるぬるの温泉も行けば必ず最高の状態で味わえるとは限らないのです。行けばかなりの高率で素晴らしい”にゅるにゅる”の温泉に浸かることのできた「丸進別館」が営業を止めてしまったのがとても残念です。とはいえ、いつ訪れても全国でもトップクラスのぬるぬる温泉に浸かれますので、まだ中山平温泉を未体験の方は是非とも訪れてみることをお勧めいたします。

(3)東鳴子温泉

中山平温泉でぬるぬる温泉に目覚めてしまった後、今度は東鳴子温泉の旅館のお風呂に入ってまたまたびっくりです。お湯から何ともアブラ臭としか表現できない独特の臭いがし、浴室に充満していたのです。お湯自体も重曹泉ベースの独特の感触のもので、熱湯好きの私にぴったりです。東鳴子温泉はひなびた湯治宿が多く、どの宿も独自源泉を持ちお湯もそれぞれ個性的ですっかり虜になってしまいました。私がアブラ臭に異常なまでの関心を抱くようになったのもこの経験がきっかけといっていいと思います。

東鳴子温泉には個性的な宿が多いですが、特に「高友旅館」は個性むき出しのお湯が幾つもあり素晴らしいです。嫌いな人は受け付けないかもしれませんが、一旦好きになるとこれはもうたまらない世界に足を踏み入れてしまった感じがします。独自に4源泉を持ち、館内に迷路状に配された7つの浴槽にそれぞれの源泉が張られていますが、これを解明するだけで2年間もかかってしまいましたが、とても楽しい体験でした。また、馬場温泉の庭の共同浴場にはじめて浸かったときは、その素晴らしさに心底感動したものです。改築されてしまいましたが以前の雰囲気そのままなのが嬉しいです。ちなみに「熊谷温泉」のカバーフォトは馬場温泉の旧共同浴場でのショットです。あー懐かしい・・・。

(4)川渡温泉

川渡温泉も共同浴場の激熱ぶりと湯治主体の素晴らしい旅館が多く、じわじわと味の出てくる温泉地です。硫黄臭と緑濁の熱湯がたまりません。私は川向かいの温泉も川渡温泉に括っていますが、新鳴子温泉と分類されていることもあるようです。泉質的には共同浴場近辺は激熱の硫黄泉主体ですが、他は適温の重曹泉・単純泉が多いようです。中でも「沼倉旅館」のお湯は素晴らしく私のお気に入りです。

川渡温泉自体はかなり地味ですが、実は伝統的な湯治旅館が徐々に現代的な湯治旅館へ変化しつつあります。個人的には鳴子の温泉群の中では川渡温泉が最も早く変化が進んでいると感じています。2代目の若手のご主人達の頑張りがとりわけ目に付きます。新しい湯治旅館のあり方を試行錯誤しながら実践しつつあるように見受けられました。これからも頑張っていってほしいものです。

(5)鳴子温泉

鳴子の温泉群の中でも最大のものが鳴子温泉です。鳴子温泉というと共同浴場の「滝の湯」が有名で、「滝の湯」だけに浸って鳴子温泉はもう十分わかったぞ的なコメントをWEB上の温泉レポートでよく見かけます。まあ、通常の温泉地であればそれでもOKなのかもしれませんが、鳴子温泉に限ってはそれは許されません。なんと言っても、ほとんどの旅館が独自源泉を何本か持ち、泉質も多岐にわたっているからです。私も初期の頃は鳴子温泉は硫黄泉で白濁のお湯ばかりだと思っていました。しかし、鳴子温泉の素晴らしさに取りつかれ旅館の温泉に片っ端から入湯していくに連れ、これは凄いところだと驚嘆するようになりました。

これまでの経験から判断すると、鳴子駅を中心にして山側から川側にかけては硫黄泉の湯脈があります。川側の国道沿いは山側に斜めに掘れば硫黄泉、真下に掘れば芒硝泉が湧いてきます。鳴子駅から東鳴子に向けては重曹泉の湯脈が走っているようです。これらが複雑に地中の中でからみあい、隣あった旅館でも泉質がまったく異なるといったことが当たり前になっています。これだけ多様な泉質の源泉が密集している温泉地は全国的にもかなり珍しいと言ってよいと思われ、これが鳴子温泉の最大の特徴となっています。いまどき泉質が異なり、湧出量が豊富な独自源泉を各旅館ごとに持っている温泉地なんて全国に幾つもないと思います。まさに源泉不足で循環なんてのとは縁遠い世界です。もったいない話ですが、温泉として使用している量より捨てている方が多い旅館も数多くあったりします。

私のHPをご覧になった方から「鳴子温泉に初めて行くのですがお勧めの旅館を教えてください」旨の問い合わせを、たまにいただきます。最初ということもあり、大体は「ゆさや」か「すがわら」をお勧めすることにしています。特に「ゆさや」に宿泊すると「滝の湯」の無料入浴券をもらえますので気楽に「滝の湯」に入れます。「滝の湯」と「ゆさや」は隣同士なのですが泉質はまったく異なります。「滝の湯」は白濁の酸性硫黄泉ですが、「ゆさや」はアルカリ性の硫黄泉で、色も入浴感もまったく異なります。この2つを入り比べただけでも、鳴子温泉の持つ泉質の素晴らしさの一端を体験できると思います。

鳴子温泉で一番入浴した場所は多分、「東多賀の湯」だと思います。鳴子に行けば必ず立ち寄っていると言っても良いかもしれません。共同浴場のような木製の小さな浴室に硫黄臭とガス系アブラ臭が立ち込める中、小ぶりな浴槽にとっぷりと身体を沈めると、もう気持ちが良いのなんのって。ここはいつも鳴子での仕上げのお湯として入ることが多く、最後の入浴箇所となります。湯上がり後に身体を拭かず、下着にたっぷりの硫黄臭を含ませておくと、洗濯しても暫くは硫黄臭が落ちません。必ずしも鳴子温泉を代表するお湯ではないですが、私は「東多賀の湯」が大好きです。

(5)鬼首温泉

一般に鳴子温泉郷と呼ぶ場合には鬼首の温泉群も含まれます。しかし、鬼首の温泉は野湯群はとてもワイルドで素晴らしいものがたくさんありますが、旅館のお湯となると野湯とは比べ物にならないほど妙に大人しいものが多く、どうも拍子抜けしてしまいます。なので何度も鳴子温泉を訪れていますが、あまり開拓は進んでいません。どんなお湯かほとんど予想がついてしまい、新鮮な感動が得られないと思ってしまうからです。というわけで鬼首の温泉探索は最後の最後になってしまいそうです。

(6)これからどうしよう?

実は鬼首を除く鳴子の温泉群で一般に入浴可能な施設は95%以上入りつくしてしまい、残る施設で目ぼしいところは限りなく少なくなってきました。ただ私にとって1ヶ所だけ難攻不落の施設があり、タイミングが合わず4回ほど玉砕しています。ここは近いうちに何としても入浴しようと思っています。あとは会社の保養所系が狙い目です。鳴子温泉の場合、会社の保養所でも独自源泉を平気で持っていますので、是非ともアタックしていきたいと思います。


雑記帳一覧へ戻る